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摩耶観光ホテル探索記

前々から言っていた廃墟探索記です。場所が場所なので名前を伏せても無駄な気がしますしこのまま公開することにしました。なお探索には危険が伴うため、万一これを読んで廃墟に行きたくなった方がおられましても自己責任でお願いいたします。当記事は廃墟探索を推奨するものではありません。

決行は3月12日、天気にも恵まれ汗ばむような陽気の中での探索となりました。今回はTwitterのフォロワーR氏と2人での探索です。見取り図などあるわけもなく、記憶だけを頼りに各フロアを巡っていったので全容は未だに把握できていません。とりあえず階段を上って入り口らしきところから入り、そのフロアから探索をスタートしました。

一眼集 263一眼集 269
時期が時期なため全体的に枯れ木が目立ち、緑の美しさがウリの廃墟にしては少し寂しい気はしました。数年前に訪れた時はちょうど7月ぐらいだったので相当繁茂していたのですが今回はご覧のとおりです。

一眼集 278
入り口をくぐると懐かしい廊下が見えてきました。多少落書きが増えているものの保存状態は悪くなく、特に崩落が進んでいる箇所も見受けられません。

一眼集 274
地下に降りるとボイラー室のような部屋がありました。地下と言っても山肌に張り付くように建てられているため実は1階だったり2階だったりするのかもしれませんが詳細はわかりません。煉瓦積みの土台の上にボイラーらしきものが載せられており、蓋らしき部分は錆び付きながらもかろうじて原型を留めていました。こういった部品は持ち去られることも多々あるようですが、この廃墟に限って言えば立地に由来する侵入の難しさ故か盗難等はかなり少ないように思われます。

一眼集 281
廊下の横の壁1枚隔てたところには細長い部屋が続いていました。ここはかなり崩落が進んでいて、また間取りも謎なため何のための部屋なのか結局わからずじまいです。ここはこれといった見どころでもないので適当に数枚撮って次に進みます。

一眼集 282
こちらもかなり崩落が進んでいますが、おそらくはカウンターだったのでしょう。両隣の部屋はロビーか何かでしょうか、目を瞑れば往時の賑わいが聞こえてくるようです。

一眼集 285一眼集 286
少し進んで横に入るといきなりこの部屋がありました。廃墟ファンの間では「マヤカンのあの部屋」で通じるほどの有名スポットで、この廃墟で一番美しい部屋と言っても過言ではないでしょう。現役時代は展望部屋として使われていたのか、南向きで木がなければ大阪湾を一望できる美しい部屋です。足元はところどころ床が抜けておりかなり不安定でしたが、しばし時間を忘れて見惚れてしまいました。昔は壁に絵画なども飾っていたようで、名実ともにマヤカンの顔とでも言うべき超一級スポットです。

一眼集 295一眼集 298
先ほどの廊下に戻り、さらに少し進んだところにある階段を降りると浴場があります。ここも南向きで、やはり海を望む位置に作られています。さすがに風呂場のタイルは頑丈で、壊れているところもほとんどなく非常に良好な保存状態でした。男湯(写真右)にはどことなく枯山水を彷彿とさせる意匠の装飾も施されていました。窓の美しさはどの部屋も共通しており、この浴場にも半円形の美しい窓があります。

一眼集 301
途中で見かけた窓です。円形や半円形など曲線美を存分に活用した窓こそ、この廃墟の優雅さを演出する主役ということでしょう。

一眼集 303一眼集 305一眼集 309
階段を上ると大食堂が広がっています。カウンターの上には当時のものと思しき黒電話が置かれていました。試しにダイヤルを回してみると思ったよりずっとスムーズに回り、電線を繋げばまだ使えそうなほどでした。筆で書かれたと思われる「本線」の文字に時間の流れを感じます。また食堂はガラスの保存状態がとてもよく、窓ガラスだけでなく天井から吊り下げられた白鷺のようなシャンデリアも綺麗に残っていました。廃墟となってから既に20年近く経ちますが、彼らはまだ再び火が灯る時を待っているのかもしれません。

一眼集 307
厨房に入ると真っ先に目に入ってくるのが傾いだ巨大な冷蔵庫とその上に鎮座する「大きな目をした猫」です。おそらくは冷蔵庫の管理機器だったのでしょうが、2つの大きなメーターを備えたその姿は気だるげに寝そべりつつ顔を上げた猫のように見えます。この廃墟のマスコットであり食堂の番人でもある彼は数年前と全く変わらぬ姿でじっとこちらを睨んでいました。きっとこの廃墟が完全に崩れ落ちるその時までこの役目を続けるのでしょう。

一眼集 313一眼集 316
最上階には大きなホールがあります。目立つ上にケーブルカー駅側からの侵入が容易ということもあって落書きなどがひどいですが、それ以外は悪くない状態でした。ちょっとした体育館ほどの広さと高さがあり、決して大きいとは言えないこの廃墟にこんな広大なスペースがあるとは外見からでは想像できません。この部屋の明かり取り窓も半円形で、ところどころ黄色の色硝子が残っていてうっすらと黄色い影を落としていました。

一眼集 317一眼集 321
ステージのある部屋を出るとデッキ状のスペースが広がっていて、ここからは遮るものが何もないため大阪湾が一望できます。トタン張りの屋根には大きな穴が空いていて、かつてはここに飛行機のタイヤと思しきものが突き刺さっていました。そのタイヤも今は力尽きて地面に力なく横たわっています(画面右下)。なぜこんなところにこんなものがあるのかは誰も知りません。そしておそらくはこれからも謎のままでしょう。廃墟につきものの心霊要素が一切ないと言っても過言ではないこのホテルですが、このタイヤだけは一つのミステリーです。B-29のものらしいのですが、とあるバンドのPV撮影時に使われた後誰かが落としたという説やかつての摩耶山上遊園のアトラクションの残骸だという説などがあり判然としません。まぁ、ひとつぐらい謎のまま残る謎があってもいいとは思いますが。

一眼集 323
デッキから続く展望テラスにはかつて屋根を支えていたであろう支柱が突き立っていました。支えるものを失いひたすら錆びていきつつ、それでも倒れることなく空を睨んで立ち続けています。

一眼集 326
上層フロアの探索を終え、入り口階段に戻って側面を撮影。季節が季節なのでまだ葉も少なく建物の輪郭は比較的はっきりと見えていますが、これから緑が深くなるにつれ廃墟は緑に飲み込まれていきます。決して相容れないはずの自然物と人工物の境界線が曖昧になり、徐々に自然に飲み込まれていくのもまた一つの美しさではないでしょうか。

一眼集 330一眼集 331一眼集 332一眼集 333
本来はこれで探索を終える予定でしたが、せっかくなので前回未踏破の1階客室部分も探索してみることに。下層はかなり崩落が進んで危険な状態とのことだったので一瞬ためらいましたが、足場を選べば大丈夫だろうと突撃。階段を降りた先には6畳1間程度の客室がいくつか並んでいました。糊が劣化して壁紙は剥がれていますが、足場は意外と堅固で、また地味で侵入経路がわかりにくいためかほとんど荒らされておらず、窓ガラスや電灯の保存状態はすこぶる良好でした。部屋自体はそこまで広くはありませんが、曲線を生かした角部屋などはホールや食堂に劣らぬ優雅さを主張しています。しかし端の部屋まで行くと露骨に床が抜けており、それ以上先もなさそうだったため撤収としました。また帰りは分岐点を2度ほど間違い、うち1回は崖のような道無き道を強行突破するハメになりましたがなんとか無事下山。阪急六甲で同行のR氏を見送って解散となりました。

本格的な廃墟探索は初めてこの廃墟に来て以来数年ぶりでしたが、時間的にも空間的にも隔離されたこの空間の空気はやはり格別でした。今の保存状態を見る限りまだ数年は崩落することはなさそうですし、また重機が入れないため解体も考えにくいですが、廃墟というものはある日突然消えてしまってもおかしくはないものですので今回十分に撮影できたことは非常に幸運でした。次に行くとすれば初夏の緑の季節、もしくは秋の紅葉の季節でしょうか。その時までこの場所が今の美しさを保ってくれることを祈りつつ、今回の締めくくりにしたいと思います。
プロフィール

マヤカン

Author:マヤカン
他愛もない趣味活動の記録と記憶。
釣ったり撮ったり走ったり。日々是平穏、暢々日和。

※すべての画像はクリックで拡大します。また画像は特記ない限り全て管理人撮影のものです。悪意あるものでなければご自由にご利用ください。

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